きっと、誰よりも辛かった。それをわかってあげられなかった。

あなたは、パニック症状について知っているでしょうか?
パニック障害と診断された家族がいるという人もいれば、自分がまさにそれと戦っているという人もいるでしょう。

私の娘は診断を受けたわけではありませんが、パニック発作ともいえる症状に度々襲われます。
それは当然、自分で制御できるものではなく、ただただ不安になるばかりで時間とともに落ち着くのを待つしかないというのが現状です。

病院に行けば、何かしらの薬が処方されると思いますが、それは今はしません。
心の中の障害は、心がきちんと育つことで克服できると私は考えているからです。

今回は、娘がパニック発作を始めて起こした時のお話です。

まさかパニック発作と思わなかったというのが本音。

その時は、本当に突然やってきた。

娘は、痛みに弱くて…といっても、あまり子どもで痛みに強いという子はいないと思いますが。
ちょっとしたことでも、大げさに痛がるそぶりを普段から見せていたわけです。

体のどこかをぶつけた時などは、『あのくらいなら大丈夫だな』と判断できるのですが、腹痛などの場合は大袈裟に痛がられると、それが緊急を要するものなのかわからないので困っていたものでした。
とにかく痛いと泣く。その時は何を聞いても泣いているばかりで答えない。しかし、面白いことがあると普通に笑う。

痛がっている時はどれくらい痛いのかということを判断し、それが本当に危ないものであったら、親は救急車という選択肢をとらなければならないですよね。
その見極めは困難を極めたものでした。

結局、少しそばにいて様子を見ていると、普通に戻るので今まで救急車を呼んだことはありませんが…。

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あの日は、風邪をひいて病院に行った後でした。
処方された薬を飲み、横になっていた娘が突然『おなかが痛い』と言って、いつも通りの感じで時間は過ぎていく…

と思っていました。

いつもより痛がる時間が長いか?と感じ始めて、いつもと違う症状が現れたのです。
その時の様子はというと…

・『ママ!ママ!ママ!ママ!ママ!』→奥ちゃんを呼んでいる
・『こっち!こっち!こっち!こっち!きて!きて!きて!きて!』→こっちに来てと言いたい
・『ヤダ!ヤダ!ヤダ!ヤダ!ヤダ!』→どうにかしたいがどうしていいのかわからず

文章で伝えるのは非常に難しいのですが、これらの言葉をとにかく連呼し、たまにおなかが痛いと泣く。


なんか変だ…。

これは本当に救急車か?と思いましたが、その必要があるかどうかを見極めなければならないのでとにかく『冷静に』と自分に言い聞かせながら様子を観察。
試しに『救急車呼ぶかい?』というと『ダメッ!』と答えます。

その他の質問には一切答えず、前述した言葉を繰り返している状態で、判断にものすごく困りました。
あまりにも『ママ!こっち!』と連呼するものだから、奥ちゃんもそばにいるのですが、それでも『こっち!こっち!こっち!』とか『きて!きて!きて!きて!』というわけです。

体が同化しなきゃ満足しないのか?
というくらい言い続けるので、『ちょっと落ち着いて!』と言っても当然聞くはずもなく。

『救急車呼ぶわ。』と言って、本当に電話しようとしました。
それでもその言葉だけには反応し、『ヤダヤダ!!』というので、私もついに冷静さを失ってしまい…。

『ヤダって言うけど、その症状がおなかが痛くて起こってるなら、それは救急車を呼ばなきゃいけないレベルなの!!前からそうだけど、こういう時どれくらい痛いのか、全然わからない!本当に痛いのかどうかもわからない!!』

言ってしまいました。
この後も、親として判断しなけばならないということ、もしもあまり痛くないのに大袈裟にしてるんだったら、まずは落ち着いてほしいということを伝えたわけです。

そして、改めて聞きました。
『どれくらい痛いの?いつもより痛い?』帰ってきた答えは『わかんない!』

もう…お手上げです。
結局、辛抱強く様子を見続けることを選択し、とにかく落ち着くまで待ってみることにしました。

大体、30~40分で落ち着きを取り戻したものの原因はよくわからず。
ただ、薬を服用して少し経ったころに起きたものだったので、もしかしてアナフィラキシーショックに近いものか?と後になって思いましたが真相は定かではありません。

落ち着きを取り戻した娘には、改めてどんな感じだったの?と聞きましたが、本人もどうしてそんな風になったのかわからず、とにかく怖かったというようなことを言っていました。
自分ではどうすることもできないからこそ、親に助けを求めていたわけですが、そのSOSをきちんと理解して拾ってあげられなかったんですね。

そしてこの時の経験が、大きくその後を狂わせてしまうことになるのです。
その時はそんなことは思いもしませんでしたが。

体が覚えてしまった。不安から起こるパニック症状。

普通にできていたことが普通にはできなくなってしまった。

それからというもの、娘は頻繁にパニック症状を起こすようになってしまいました。
特になにか不安を感じると、高い確率でそれは出たのです。

本当に体が覚えてしまっているという感じでした。

奥ちゃんが近くにいないとダメという状態にもなってしまい、それまでは私が仕事が休みの時は奥ちゃんが1人で買い物に行くなどして少しの時間をリフレッシュするということをしていたのですが、それさえもできなくなってしまいました。
車に乗ることも困難になり、数キロ離れたスーパーに家族で行くことや、実家に行くことも一苦労。

自由に身動きが取れない車内では不安なのか、元気よく出発したのも束の間、数分で症状がでる。
これは本当に困りました。

奥ちゃんは一人で買い物も行けず、娘を連れて一緒に行こうとしても途中で引き返さなければならない。
当然、ずーーーーーーーっと娘と片時も離れることなく一緒にいる日々が続いたわけです。

私が仕事から帰ってくるまで、一人でお風呂に入ることもできず(風呂に入ってしまうと姿が見えないから)、トイレに行くこともままならず、全くと言っていいほど一人の時間はなかった。
唯一、一人になれる時間は寝かしつけてからの少しの時間。

ただ、その時間も何かをするということはなく、疲れ果てているので早く布団に入りたいという気持ちと、もしも娘が目を覚ましてパニック状態になっていたらどうしようということが頭にあって、一人になれる時間を何かに使うということはありませんでした。

さすがにこれはまずいなと。
かかりつけの小児科に相談しに行ったら、『おそらく不安障害。それと母子分離不安もありそうです。』とのこと。

不安障害

常に過剰な不安や心配を感じ、日常生活に支障をきたす病気のことをいいます。不安の対象は多岐にわたり、学校や仕事、家庭生活など自分にまつわるものだけでなく、自分ではどうすることもできない災害や海外の戦争などまで、あらゆるものを不安に感じてしまうものです。

母子分離不安

子どもが母親と離れることに対し、不安を感じることです。不安が極度に強まると、腹痛・頭痛などの身体的症状や、母親がいないと泣きだしてしまうといった精神的症状を引き起こすこします。さらに症状が悪化すると通園・通学拒否になってしまうなど日常生活に支障をきたすことがあります。

色々調べてはいたので、そこまでおどろくことはありませんでしたが、今後どうなっていくのだろうという不安に襲われましたね。
当然、小学生のうちから抗うつ剤といった薬を飲ませる気はさらさらなかったので、違う方からのアプローチを試していくことになったわけです。

ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回は、そのアプローチを紹介します。